「スクリブド」で誰でも作家に
【ニューヨーク=吉形祐司】
様々な文書を自由に共有できる米国のウェブサイト「スクリブド」が、電子書籍の販売に乗り出し、話題を呼んでいる。
既存の書籍をデジタル化する従来の手法と違い、作家や一般利用者が直接、サイトに投稿・販売するのが特徴だ。
携帯端末の普及とも相まって、これまで出版社が一手に担ってきた出版ビジネスを変える可能性を秘めている。
作品を投稿、ネットで販売
2007年に開設されたスクリブド http://www.scribd.com
いわば、音楽配信サイト「iTunes(アイチューンズ)」や、動画投稿サイト「ユーチューブ」の文書版で、月間利用者は6000万人を超す。
英語の「scribble(走り書き)」を連想させるサイト名となっている。
今年3月に始まった書籍のネット販売では、作家が出版社を通さず「出版」できる。
サイト内のページから、クリックひとつで原稿を送ることができ、著作権侵害などの法的問題がなければ、ほぼ制限なく販売される。
読者はパソコンで「読書」できるほか、既に一般的な共有文書は携帯端末に取り込める。有償配布の電子書籍も近く携帯電話や携帯リーダーで読めるようになる。
サンフランシスコ在住の作家ケンブル・スコットさん(46)は、「スクリブドに掲載された途端、反響があった。出版社から誘いがあり、8月には印刷された本も店頭に並ぶんだよ」と興奮した口調で話した。
2作目の小説に2ドルの値を付け、スクリブドで売り出したところ、注目を集めたという。
価格は作家側が設定し、反響を見ながら価格を変更することも可能だ。売り上げの2割がスクリブド、8割が作家の収益となる。
スコットさんは「1作目は15ドルで出版されたが、印税収入は7・5%(約1・1ドル)。2ドルで売った方が収益は大きい」と言う。
サイトの書籍販売ページには、3ドルや5ドルの格安本が並んでおり、印刷・流通を省いたことで「価格破壊」を実現している。
スクリブドは6月、米大手出版社のサイモン&シュスターと契約を結び、同社が版権を持つ「ダ・ビンチ・コード」「老人と海」「風と共に去りぬ」などの電子書籍5000点の販売を開始。
今月にはハーバード大学出版の電子書籍も加わるなど、既存の出版界も続々と参画し始めた。
スクリブドのミシェル・レアード広報部長は「出版業界は弱体化しており、新たなビジネスモデルを模索している。
スクリブドは新たな読者を提供でき、販売促進につながる」と言う。電子書籍の販売は現在、米国内限定だが、早ければ来年にも国外展開する計画だ。
米出版社協会によると、米国での出版物の総売上高は横ばいが続き、2008年は前年比2・8%減となった。
一方、電子書籍の売り上げは、全体に占める割合こそ1%にも満たないが、過去5年で6倍にふくらんだ。
ただ、スクリブドは収益をネット広告に頼っているのが現状で、売り上げの8割を作者に還元する手法が維持できるかどうかなど、未知数の部分も多い。
(2009年7月30日 読売新聞)
アメリカの電子書籍・出版の話題です。
月間利用者数6000万人の『スクリブド』のような
大々的な文書投稿共有サイトは日本にはまだないと思いますが
こういった形で今後は
(1)Web上で無料で読む
(2)電子書籍を購入して読む
(3)紙に印刷された書籍を購入して読む
といった選択肢を持って『本』は流通していくと思います。
人が大量に集るサイトであれば様々な商売が成立していくと思います。
Webを通じた印刷の新たな需要も創出できると思います。
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